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最高人民法院が司法解釈を公布馳名商標の保護を強化し、一方的な「馳名」の追求を防止
2009-09-10 13:56:37
 

  2009年5月1日より施行された『馳名商標保護に係る民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈』は、社会各界から意見を求めるためにその草案が公表されてから、広く注目されている。以下、その内容を簡単に紹介する。
 2009年4月26日に、最高人民法院は『馳名商標保護に係る民事紛争事件の審理における法律適用の若干問題に関する解釈』(以下、「解釈」という)を公表し、2009年5月1日から施行した。これに先立って、最高人民法院はこの司法解釈の草案(以下、「草案」という)を起草し、2008年11月から12月11日まで社会各界から意見を求め、公衆に注目され、いろいろな提案や意見を募集した。
 当該司法解釈は全部で14条あり、内容は主に馳名商標の概念、適用範囲、認定要素、挙証責任、保護要求の五つの方面にわたっている。当該司法解釈は、人民法院が馳名商標保護に係る民事紛争事件を審理するときの基準をさらに明確にし、適用条件及び範囲を厳格に制限し、司法尺度を統一し、馳名商標の司法保護に法律根拠を提供している。
 国家工商行政管理総局は、2003年に制定した『馳名商標認定及び保護』において馳名商標の地域性の基準は中国であると明確に限定した。最高人民法院は地域性に関するこの規定、即ち、「本解釈で言う馳名商標とは、中国国内において関連公衆に広く認知された商標をいう」(第1条)の民事事件における適用性(香港・澳門・台湾を除く)を明確にした。草案では、最高人民法院は中国以外の地域での馳名事実を考慮に入れることを試みたが、最終稿では中国以外の地域での馳名事実を認めなかった。
 「解釈」は第2条で係争商標の馳名認定が審理できる三種類の民事紛争事件を規定している。(一)商標法第13条の規定に違反することを理由に、商標権侵害訴訟を提起した事件。即ち、同一又は類似する商品について中国で登録されていない馳名商標に同一又は類似する商標を使用又は登録する行為、非同一又は非類似の商品について中国で登録されている馳名商標に同一又は類似する商標を使用又は登録する行為に係る事件。(二)他人の企業名称がその馳名商標と同一又は類似することを理由に、商標権侵害訴訟又は不正競争訴訟を提起した事件。(三)原告側が、係争商標の使用がその登録商標専用権を侵害することを理由に民事訴訟を提起した際、被告側が原告側の登録商標が先に存在する登録されていない馳名商標を複製、模倣若しくは翻訳したものだと主張し、抗弁又は反訴した事件。
 同時に、「解釈」では第3条で係争商標の馳名認定が審理できない二種類の事件を規定した。(一)提訴された商標権侵害又は不正競争行為の成立が商標馳名の事実を根拠としない事件。(二)提訴された商標権侵害又は不正競争行為が法律に規定される他の要件を満たさないため成立しない事件。実際には、これら二種類の事件では、馳名商標の認定は必要ではなく、事件の結果に実質的な影響を及ぼさない。これにより馳名商標の不当追求を抑えることができる。
 他人のドメインネームが登録商標と同一又は類似する場合は、当該ドメインネームを使用して関連商品の取引を行い、関連公衆を誤認させるおそれがあるものは、『商標法』第52条第1項に規定される典型的な商標権侵害行為に該当し、単にかかる権利侵害行為がインターネットという先進的な手段で行われたに過ぎない。このような状況では、馳名商標の認定は不要である。ただし、当該ドメインネームを使用して関連しない商品の取引を行い、または関連商品とともに関連しない商品の取引をし、公衆を誤認させるおそれがあるものは、『商標法』第13条第2項が適用される。言い換えれば、権利者が保護を希望する場合、やはり馳名商標を主張する方法を通じてでなければ、指定区分を超えた保護は得られない。
 『商標法』第14条では馳名商標を認定する際、考慮しなければならない4つの要素が列挙されている。一般的には、人民法院はこれら4つの要素を総合に考慮した上で馳名である否かを認定するが、すべての事件で統一的にこれら全ての要素を考慮することは合理的でない場合がある。「解釈」によれば、馳名商標を認定する際、人民法院は事件の具体的な状況により、商標法に規定される要素すべてついて考慮しなくても、商標を馳名だと認定することができる。これは、一部の要素により馳名商標の認定を求める権利者にとってメリットがある。
 証拠に関する問題について、「解釈」は第5条において、馳名の事実の時期が提訴された商標権侵害又は不正競争行為の発生前でなければならないと規定している。それ以後に馳名になった場合には、人民法院はこれに関する主張を支持しない。同時に、第5条では『商標法』第14条に対して具体的な考慮要素を追加し、馳名商標を支持する証拠をさらに細分化している。例えば、市場シェア、販売区域、利益と税金、市場における名声等である。
 原告側が係争商標の使用がその登録商標専用権を侵害しているとして民事訴訟を提起した場合、被告側は先の未登録商標の馳名事実に基づき、原告側の登録商標がその未登録の馳名商標を複製、模倣又は翻訳したものであることを理由に、抗弁又は反訴を提起することができると『解釈』の第6条は規定している。これは「悪意による提訴」を抑えることができる。
 司法資源を節約し、審理の効率を高められるよう、行政又は司法により馳名だと認定されたことがある商標については、被告が異議を申立てなければ原告は挙証を要しないという原則に従い、その認定は引き続き有効である。但し、馳名認定の記録がなく、原告側が人民法院及び被告側に馳名事実の証拠を提出することが必要な場合は、民事訴訟における証拠の自認に関する規則の適用例外として、馳名認定が重要な事実であることを考慮し、被告側が原告商標の馳名の事実を認めても、人民法院はその事実を審査しなければならない。本条文は、共謀して馳名商標の認定を図ろうとする双方当事者を対象として制定された条文であり、目的性が非常につよい条文である(第7条)。
 第8条により、馳名商標は、(一)一般公衆において馳名、(二)関連公衆において馳名の二種類に分けられる。(一)の馳名商標の場合、人民法院は商標馳名の基本な証拠だけで、又は被告側が異議を申立てない場合、馳名性を認定をすることができる。これに対し、(二)の馳名商標の場合はより完全な証拠が必要である。本規定は、日常生活に深く関わる飲料、自動車、コンピュータなどの業界において著名性が極めて高い馳名商標にとって大きな特権であり、当事者及び人民法院の資源を節約できる。
 第9条は、『商標法』第13条でいう「混同を起こしやすい」及び「公衆を誤認させ、当該馳名商標権者の利益に損害を与えうる」の概念を明確に解釈している。即ち、馳名商標を使用する商品と係争商標の商品の出所について関連公衆に誤解を生じさせるに足る場合、または馳名商標と係争商標を使用する経営者の間に特定の関係があると関連公衆に思い込ませるに足る場合は、商標法第13 条第1 項に規定する「混同を起こしやすい」に該当する。また、係争商標と馳名商標に相当程度の関係があると関連公衆に思い込ませるに足り、かつ馳名商標の顕著性を弱め、馳名商標の市場における名声を毀損し、または馳名商標の市場における名声を不正に利用する場合、商標法第13 条第2 項に規定する「公衆を誤認させ、当該馳名商標権者の利益に損害を与えうる」に該当する。
 『商標法』第13条第2項には中国で登録されている馳名商標は指定区分を超えて保護を受けることができるとの規定はあるが、条件が制限されていない。これに対し、「解釈」の第10条では、中国で登録されている馳名商標について区分を越えて保護する際、(一)当該馳名商標の顕著性の程度、(二)係争商標又は企業名称が使用される商品の関連公衆における馳名商標の認知度、(三)馳名商標を使用する商品と係争商標又は企業名称が使用される商品との関連度を考慮した上で(これらの要素をすべて満たさなれけれならないというわけではない)、区分を越えた保護を認めるか否か決めなければならないと規定している。
 この「解釈」が今後、人民法院の事件審理において適用されることになるので、関連する権利者は区分を超えた保護を主張する際、自らの商標がこれら三つの条件に合っているか否かをよく考慮した上で行動する必要がある。
 第11条では、一般的には人民法院は原告の請求により被告側の馳名商標の使用を禁止することができるとしているが、被告側の商標が登録して五年以上経ち、且つ悪意による登録でない場合、又は被告側の商標登録出願時に原告側の商標が馳名でない場合には、人民法院は、原告側が被告側の馳名商標の使用禁止を請求してもこれを支持しないとしている。このように馳名商標の権利者の権利行使に対する時間的制限を規定し、他の関連する当事者の権利を適切に保護できるようにしている。
 『商標法』第10条、11条、12条に規定される絶対的拒絶理由に違反している未登録の馳名商標に関しては、「解釈」の第12条により、人民法院は馳名商標の権利者の保護請求を支持しない。これは『商標法実施条例』の第49条と同じ趣旨である。
 第13条により、人民法院は馳名商標に係る事件について判決を下す際、馳名商標の認定を事件の事実及び判決理由とすることができるが、判決の主文に書くことができない。これにより馳名商標認定を減少させることもできる。
 「解釈」から、最高人民法院が過熱する馳名商標認定を冷まそうとしていることが分かる。したがって、これから馳名商標の司法認定はさらに難しくなると言えよう。

(北翔知識産権代理有限公司 商標代理人 霍廷喜)

 

 
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